お手元供養から宇宙葬まで
個性的な考え方や「家」という枠にとらわれないライフスタイルが認めれるようになった現代、オリジナリティあふれるご供養が増えてきました。宇宙葬、バルーン葬、ダイヤモンド葬など、名称を聞いただけではどんなものなのか想像がつかないご供養が続々と登場しています。費用は和墓を構えるよりも安価の場合が多いので、近い将来、スタンダードなご供養の形として浸透するのではないでしょうか。故人の生前の趣味や好み、ライフスタイルを反映したご供養を行うことで、ご遺族の心も大きな安らぎを得られます。ここでは、ひとつひとつの葬送方法について、費用や方法について個別に解説します。
宇宙葬とは
宇宙葬は、文字通り故人を宇宙に葬送する方法です。カプセルなどにご遺骨・ご遺灰を詰めて、ロケットで打ち上げます。初の宇宙葬は1997年、アメリカのオービタル・サイエンシズ社によるペガサスというロケットを使って行われ、天文学者、映画プロデューサーなどの著名人を含む24名のご遺骨が打ち上げられました。宇宙葬といっても、実際は地球の周回軌道上を出ることがないものがほとんどだそうですが、人工衛星を使用した宇宙葬では、月面までも到達できるのだとか。
最近では宇宙ゴミを増やすとの批判がありますが、業者側は地球に落ちてくる際に成層圏で燃え尽きると説明しています。注意したいのは、宇宙葬ではまだまだご遺骨のすべてを打ち上げることはできない、というところです。打ち上げるご遺灰の量は数グラムですので、分骨してほとんどのご遺骨は別の葬送を行う必要があります。
日本では独自に葬送ロケットを打ち上げることはありませんが、2013年にアメリカの企業「エリジウムスペース社」と提携した「Sorae」や、「セレスティス社」の代理店として運営する「スペースメモリアル」などのサービスを行う企業があります。アメリカでの打ち上げになるため、一般的にはご遺骨の出発を見ることは難しいのですが、お見送りも含めてのツアーコースもあります。
サービス内容は、宇宙空間(海抜高度100km超)へと打ち上げるプラン、人工衛星で宇宙空間に打ち上げられ、240年間軌道上をまわりつづけるプラン、月面に運ばれるプラン、宇宙を飛び続けるプランがあり、地球からの距離が離れるほどぼ費用は高くなります。
宇宙葬の費用
28万~300万円
海外の企業と提携しているため、為替相場の変動が激しければ、価格の変更があるかもしれません。また、実際に打ち上げるご遺灰は数グラムなので、残されるご遺骨を埋葬・散骨する費用が別途発生します。
宇宙葬の準備と手続き
日本で宇宙葬を請け負っている業者は、海外の企業と提携しているため、ご遺灰は配送業者を通じてのやりとりになります。ご遺体を火葬するところまでは日本で行います。その上で契約手続きをして料金を支払うと、ご遺灰を入れるカプセルが届きます。そのカプセルにご遺灰をいれて返送すると、現地で業者がロケットや人工衛星に積み込みを行います。ご遺族が現地に向かってお見送りをする場合は、打ち上げ前に到着するように手続きを取り、ロケットが打ち上げられたあとには、打ち上げ証明書が発行されます。
宗教や家に属さない個人での葬送をご希望の方に適しています。また、宇宙にロマンを感じている方にもおすすめです。
バルーン葬とは
バルーン葬とは、大きなバルーンにご遺灰を詰めて、空中散骨する葬送方法です。宇宙葬の一種とも言われますが、実際は高度30~35kmの成層圏内での散骨となります。バルーン本体に自然分解される素材を使用し、ゴミを残ずご供養できます。日本では宇宙葬が行われる以前に誕生し、40年ほどの歴史があります。最大のメリットは、打ち上げ場所、日時を選ばないことです。
バルーン葬の費用
24万円~
基本は24万円ですが、人数追加、ペットと一緒の葬送、ご遺骨の粉砕など諸サービスなどのオプションによって費用が上がります。
バルーン葬の準備と手続き
役所で埋葬必要書類をそろえて業者に提出し、火葬したご遺骨を業者に送ります。業者がご遺骨を粉砕し、バルーンに入れて打ち上げます。打ち上げを自ら行う場合はご遺骨の返送を依頼し、業者の指示に従ってバルーンを飛ばします。業者に打ち上げまでを依頼した場合は、後日実施証明書が送られます。
宗教や家に属さない個人での葬送をご希望の方、近隣で葬送を済ませたい方におすすめします。
ダイヤモンド層とは
故人のご遺骨からメモリアルダイアモンドを作るお手元供養の一種です。粉砕したご遺骨から炭素を抽出し、人工的に熱と圧力をかけて合成ダイヤモンドを作ります。ジュエリーに加工して肌身離さず持ち歩くことによって、故人を身近に感じられます
ダイヤモンド葬の費用
40万円~250万円
ダイヤの大きさによって費用が変わります。
ダイヤモンド葬の準備・手続き
ダイヤモンド葬は、海外の企業と提携している場合と、国内で独自に行っている場合がありますが、手順は同じです。ご遺骨を送り、黒鉛を精製、合成ダイアモンドを生成してもらい、ジュエリーに加工します。
故人を身近に感じたい方、お墓を必要としない方におすすめします。
お手元葬とは
ご遺骨を自宅で管理する葬送方法です。ご遺骨のすべてを保管する場合と、一部のみを保管する場合があります。お手元供養のための骨壺は、カラフルなものや美しい装飾がついたもの、洗練されたデザインのものなどがあり、故人をイメージしながら選ぶことができます。また、一部を保管する場合はオブジェやアクセサリーなど、一見ご遺骨が入っているように見えない収納もあります。
お手元供養の費用相場
数千円~20万円
ご遺骨を入れる容器の価格で決まりますので、わずか数千円から選ぶことができます。効果なアクセサリーや仏壇形式のものでも十万円台が相場と、かなり費用を抑えることができます。
お手元供養の手続き
手元に安置するだけであれば、火葬するのみで手続きは必要ありません。分骨であとあと埋葬する場合は火葬場に分骨証明書を発行してもらう必要があります。
ご自宅で故人を供養されたい方におすすめの方法です。